株式会社アースは、神奈川県横浜市を拠点とする鉄道専門の土木工事会社です。弊社は2017年に設立した若い会社ですが、今後さらなる発展を目指し、ともに働いてくれる社員を広く募集しています!
ところで、鉄道専門の土木工事と聞いても、具体的な工事内容などあまりピンとこないのではないでしょうか。
鉄道土木工事の範囲はとても広く、橋梁・トンネル・高架橋・駅ホームなどの鉄道構造物の改良・補修工事から駅設備の改良工事やバリアフリー化工事なども鉄道土木工事とされています。
そして、鉄道土木工事は私たちが毎日利用する鉄道や駅が安全に機能するために必要不可欠なインフラ工事なので、施工に関して常に高いクオリティが求められています。
鉄道土木工事は不特定多数の人が使う公共空間の工事となるので、社会貢献度が高くとてもやりがいのある仕事といえます。
さて今回は、弊社が手掛ける鉄道土木工事の中でも少しだけ変わった事例として、
鉄道高架下の倉庫新設に付随する土木工事
についてご紹介します。
アースの社長でありながらも、自ら現場に出て施工管理として日々奮闘している嶋が、鉄道工事の施工管理のあれこれを話してくれました!
▽動画で知りたい方はこちら▽
鉄道工事の施工管理を取材!
【1】高架下に倉庫をつくる!鉄道高架下の有効活用はトレンド?!
嶋:鉄道高架下の有効活用は近年いたるところで見受けられます。
鉄道高架下というと、ひと昔前までは「薄暗い」「騒音が絶えない」などネガティブな空間として認識されていましたが、近年では駅から直結しているというアクセスの良さや、若い世代に向けたおしゃれな飲食店や雑貨店の誘致などにより大幅にイメージが改善されてきています。
とはいえ、駐車場や駐輪場、あるいは物流倉庫のような使われ方もまだまだありまして、今回はまさに高架下に倉庫を増築するという工事内容でした。
弊社が担当したのは倉庫そのものの建築ではなく倉庫の外回り全般、つまり基礎や外構部分になります。
高架下は上を走っている鉄道会社の所有になるのですが、今回は都営線の高架下ということで初めてのケースでした。
近年では地下鉄や私鉄各社も高架下の可能性に着目し始めているようです。
基礎工事や外構工事というのは決して珍しい工事ではありませんが、私たちのような鉄道土木会社にご依頼いただいたのは、それが高架下という特殊な環境にあったからです。
鉄道工事の施工管理を取材!
【2】高架下の外構工事って何をやるの?
嶋:外構工事とは建物本体以外の外まわりの工事のことで、倉庫の場合は舗装工事や排水工事などの土木工事になります。
今回は基礎づくりから請負させていただきました。
基礎部分はもともと平だったところを掘削して、内部に型枠を組み立てます。型枠の内部に鉄筋を組んでコンクリート打つわけですが、基礎となる全ての部分に満遍なくコンクリートを打つわけではなく中は空洞にする設計です。
使用するコンクリートの量を削減することで、コストを抑える目的と、トラックの積載量を量るための機械を設置するためです。
余談ですが、材料の高騰もありますので、最近は特にコンクリートの使用量は建築コストに大きく影響します。
外構部分に関しては、土間コンクリートの流し込み、U字構埋設工事、そして地盤工事となります。地盤工事は倉庫に出入りする部分の強化のために路盤材を入れ替え、転圧機で締め固めた後に舗装しました。
内容としてはいずれもそこまで複雑な施工ではないものの、高架下なので既存の構造物が傷つかないようにするのがこのプロジェクトの肝です!
見ておわかりの通り、柱などはしっかりと養生しますし、天井があるのでユンボなど重機の大きさも慎重に選ばなくてはいけません。今回も実は大きすぎて途中で入れ替えました。(笑)
しかし、やっぱり重機の大きさによって作業スピードは全然違うのです!なので本当は大きい機械を使いたいのですが、プロセスや現場の条件で入れ替えもあります。
それから今日はまだ寒いですが、少し暖かくなってくると、晴れた日の外での作業はとても気持ちがいいです!
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【3】現場は生き物!イレギュラーこそやりがいだ!
鉄道工事の施工管理のメインの仕事は、工事に先立って、
現地調査、工事内容の確認、見積もり、施工会社(外注業者)の選定、発注、工事内容に応じて施工会社ごとの対応範囲を区切るなど、滞りなく工事が進むように工程や段取りを考えます。
そして、これらをもとにして緻密な施工計画を作成します。
工事が始まったら、施工計画通りに工事を進めます。
予算、工期、人(職人)、安全、品質などあらゆる管理を行うことになるので、頭の中はフル回転です!
「工事現場は生き物」という人もいますが、現場というのは流動的で想定外のことは起こり得ます。掘ってみたら、事前に把握していた状況と違う!ということはあるものなのです。
臨機応変に、その都度、元請け会社の方々や職人たちと相談し、解決策を考えていくことがこの仕事の醍醐味です。
そういう時にこそ、自分自身の人間性や、チームワークが試されます。日頃からきちんとコミュニケーションを取れていれば、多少の無理を仲間も受け止めてくれて、協力してくれます。そうして納める現場の達成感や感動こそが「やりがい」です。
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【4】相棒ともいえる重機を紹介!手足のように動く!
今回の現場では、施工管理のみならず、自分もバシバシ重機に乗って作業を進めています。
実際に外構工事で使っている重機をご紹介しますね!
まず、バックホーと呼ばれる油圧ショベルです。ショベルカー、ユンボ、そしてバックホーなどと呼ばれます。
バックホーの特徴としてはオペレーター側の向きにショベルがついていること、そして構造上地表面よりも低い場所の掘削に適していることなどが挙げられます。
バックホーの操作自体はそれほど複雑なものではありませんが、機種ごとに微妙に操作が違う場合もあるので、慣れるまでに少し時間がかかりますね。
油圧ショベルの操作は基本的にはどれもレバー操作になり、レバーを押した時に
縦旋回になるか
横旋回になるか
それらは機種によって変わります。
JIS基準としては横旋回なのですが、日本の油圧ショベルはほとんどが縦旋回になります。
また、バックホーは掘削以外にもクレーンとしての用途もあるので、用途に応じて掘削モードとクレーンモードのどちらかに切り替えて操作をします。
実は、今現場で一番バックホーに乗っているのは私です(笑)。
バックホーに乗るには、建機本体が3トン未満の小型である場合、「小型車両系建設機械の運転に係る特別講習」を受ける必要があり、3トン以上のバックホーに関しては「車両系建設機械運転技能講習」を修了し、試験に合格する必要があります。
今現場に入っている職人で免許を持っている人がまだ少ないのですが、操作できる職人が増えてくると現場も効率よく回るのでいいですよね。
社内でもそういう人材を育てたいなと思っています。
バックホーは正しく使えば極めて安全な重機だと思います。
少しでも作業を中断するときは安全装置を忘れずにONにすれば誤作動はないですし、最近の機種はほとんどがコンピューター制御なので、無理に力がかかった操作をしようとしてもエラーが出るようになっています。
昔はオペレーターの力業でなんとかしてしまうような場面もありましたが、今はそのようなことができない構造になっています。動きもスムーズですし、乗りやすいと思いますよ。
そしてもう一つは、転圧機(タンピングランマー)になります。
こちらは路盤材を入れ替える際に舗装のため締め固めするための重機です。振動によって押し固めるので、小さいですがなかなか重量のある重機になります。
転圧機(タンピングランマー)が動いているところを見ればわかるかもしれませんが、けっこうな振動ですよね。
これを人が持って操作するので、かなり体に負担がかかると思う人は多いみたいです。
でも、実際はそんなことはないんですよ。
実は転圧機を握る手にはそれほど力を入れる必要はなく、転倒防止やずれを防ぐために押さえている程度なのです。
だから、体への負担はそれほどありません。
しかし、慣れないうちは力が入りすぎてしまうようで、新人さんなどは1時間くらいで腕に限界がきていますね。(笑)コツを掴めば楽になってくると思いますよ。
鉄道工事の施工管理を取材!
【5】鉄道土木の現場管理で心がけていること
鉄道土木の現場管理は、ビルや住宅の現場管理と異なる部分が多々あります。
まず、現場が公共空間であることが多いので、既存の建物や構造物を少しでも傷つけないように細心の注意を払って作業する必要があります。工事に入る前の養生は一仕事ですね。
もちろん、通行人の安全確保や動線の確保も大事です。
工事内容によって使う重機の選定を行いますが、鉄道土木の中でも今回のように高架下の場合は空間に柱が多く高さにも制限があるので、いざ工事を始めてみると重機のサイズが合わなかったりして本来のパフォーマンスが十分に発揮されないこともあります。
そのような場合は、無理して合わないものを使い続けるのではなく、重機の入れ替えを行います。その際は入れ替えによって作業が中断しないように施工計画を少し変更したり、重機の手配を想定しておくなど、なんらかの対策を講じておきます。
現場管理といっても自分は現場に入って作業もしていることもあり、現場の抱えている問題や作業の進捗の細かいところまで把握しているつもりです。
何かあっても軌道修正しやすい立ち位置にいると思います。
それゆえ、いつも作業しながら並行して管理のことも考えているので、頭の中は忙しいですね。
現場は流動的に動くので、いつどのようなことが起こっても冷静に対応できるように気持ちだけでも準備しておくのも施工管理の役割なのかなと思います。
鉄道工事の施工管理を取材!
【6】鉄道土木の施工管理のやりがいとは
鉄道土木は物理的な制約が多く、限られた条件の中で作業をすることになりますが、逆にそれが面白さでもあるのかなと思います。
図面をもらった瞬間に頭の中でプロセスをイメージして、どこから手をつけていくか、どのように進めていくか順番を組み立てていきます。
経験を積んでいくと、「この作業にはどのくらい時間がかかるのか」、あるいは「これを実現するには人が何人必要か」など、細かくシミュレートしてパズルをあてはめるように工程を組み立てられるようになってきます。
一つひとつの工事が想像できるくらいの経験値は必要ですが、そうして自分が段取りをして進めていった現場が上手くいったときは、気持ちがいいですし、やっぱり自分がつくっているという実感を持てるでしょうね!
どんな仕事でも同じだと思いますが、その域まで頑張れば、あとは楽しくなってくるはずです!
鉄道土木という仕事は派手さこそありませんが、私たちの生活を支える鉄道が毎日滞りなく運行できているのは、鉄道土木に従事している人たちの努力の結果とも言うことができます。
社会的貢献度が大きく、やりがいもある鉄道土木を目指す若い世代が増えれば嬉しいですね。
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